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パッシブデザインとは

パッシブデザインとは、住宅設計の工夫によって自然にあるエネルギーを使って、暖かさや涼しさ、明るさを生み出す技術です。

例えば、
冬に部屋を暖かくするために、南面の窓を大きく取って、陽の熱が建物の中にたくさん入ってくるようにする。
夏には部屋を涼しくするために、日射角度を計算して屋根を作り日陰をつくる。

そうした工夫をするのがパッシブデザインです。
住宅そのものが暖かさや涼しさ、明るさを生み出すひとつの”かしこい装置”になっている、とイメージしてもらうのが良いかもしれません。

アクティブが招く体調不良

パッシブデザインの「パッシブ」とは、「受動的な」という意味です。
その対義語である「アクティブ」は「能動的な」という意味であることはみなさんご存知だと思います。

パッシブデザインの対義語としての”アクティブ”は、エアコン等の機械を使って能動的に暖かさや涼しさを生み出すことを指します。 こうして作りだした快適さは、電気やガスなどの人工的なエネルギーを使うのが大前提となっています。

こうした技術は便利ではありますが、機械でつくり出す心地よさに違和感を感じる人も多いと思います。実際に、室内の極端な温度差によって以下のような体調不良を招くこともあります。

エアコンで体調を崩してしまう例
・冷房病(クーラー病)
・冷え性
・自律神経の乱れ
・だるさ
・室内の乾燥
・風邪をひきやすくなる

①日射のコントロール

パッシブデザインでは日射のコントロールを綿密に考えます。

冬の日射コントロール

パッシブデザインでは、まず冬は「できるだけ日射を入れて暖かくする」ため、住宅と周辺環境や、プライバシー、利便性も鑑みて、屋根の角度や窓の配置を工夫します。

日射をコントロールするそのメリットは2つあって、
ひとつは「0円で暖房できる」ということ。
もうひとつは「エアコンで暖房するより快適で気持ちいい」ということです。

なぜ、「エアコンで暖房するより快適で気持ちいい」のか?
それは、日射の熱で暖められた部屋は空気が動かずに穏やかに温度が高くなるからです。

冬の太陽は高度が低く、南にいる時間が長いので、垂直に立った南面によく日射が当たります。よく晴れた日であれば、正午頃には掃き出し窓(約3.5㎡)に3000Wを超える熱が当たります。これはなんと「電気ストーブ3台分もの熱」です。

「0円で暖房できる」のに、「電気ストーブ3台分もの熱」が得られて、「気持ちいい」。

だから、南面に窓をたくさん設けて、たくさんの熱が入るように、ガラスの種類や、軒や、ひさしの寸法などを工夫します。

注意点として、敷地の南側に日射を遮るものがあると、いくら南面に窓を設けても日射熱が入ってこないので、住宅だけを見るのではなく、そうした周辺環境も正確に確かめるためのシミュレーションを実施しないといけません。

夏の日射コントロール

夏は、冬とは逆に日射熱ができるだけ部屋(家の中)に入らないようにします。

夏の太陽は真東から上がって、高い高度で南を通過し、真西あたりに沈むので、東面や西面によく日射が当たります。この面の窓を小さくしたり、日射熱を入れにくい日除けを設けることがポイントになります。

また、南を通過中は屋根にたくさんの日射が当たるので、屋根や天井の断熱性能を高くしておくことも重要です。

夏の日射シミュレーションでは、西や東の隣家で日射が遮られる場所=窓を設けられる場所を検討します。そこで、明るさを確保したり、風通しに使ったりするのが賢い方法です。

②適切な断熱/保温性能を備える

冬にせっかく入れた日射熱も、断熱・保温性能が低いと、あっという間に外に逃げてしまいます。日中は”日向ぼっこ”が気持ちいいけど、夜は芯まで凍えてしまう・・・。そんな家では快適に生活できませんね。

パッシブデザインが目指すのは、”日向ぼっこ”が気持ちいいだけの家ではなく、「日射熱を利用して部屋全体の温度を上げ、それを維持できる夜まで暖かく気持ちいい家」です。だから断熱・保温性能はとても大切なのです。

また、断熱・保温性能を上げると、住む人やペットから出る熱や調理の熱、家電や照明から出る熱によっても、かなり家全体の温度の底上げができます。

だから、パッシブデザインの家は日射、住む人やペット、調理などから出た少しの暖房で暖かくなり、それが維持されます。

東京・埼玉に適切な断熱・保温性能 Q値(熱損失係数)とは

断熱性が高すぎても低すぎてもよくない

Q値(熱損失係数)というのは断熱・保温性能の指標であり、これが小さいほど性能が良いということになります。

ポイント:Q値(熱損失係数)が小さいほど
・熱が逃げにくい
・冷暖房効率が良い
・省エネ性能が高い

例えば、埼玉県南部の 「適切な断熱・保温性能」は、
Q値=1.9 [W/m2K]が最低限であると私たちは考えています。

Q値=1.9 [W/m2K] になるようにしておけば、
起床時のリビングの温度がおよそ15℃くらいになります。

そこから「外が5℃で、家の中が20℃」という状態を作るのに、床面積100㎡の家であれば「 2850Wの熱」で済みます。冒頭に出てきた日射で得られる熱3000W(電気ストーブ約3台分)で賄えるようになるわけです。

断熱性能、高めすぎ!の罠 UA値(外皮平均熱貫流率)だけを見ないで!

「断熱・保温性能を高めすぎると、熱がこもって暑くなる」ということもあります。よく起きるのは、昼間に使っていない2階の部屋が夕方に暑くてたまらなくなるという状況です。このような現象が起きることをきちんと知って、パッシブデザインをきちんと組み込めば、こうした家にはなりません。

断熱性能の指標には「UA値(外皮平均熱貫流率)」もあります。以前はQ値(熱損失係数)を使っていたのですが、2013年から国の基準で使う指標が「UA値
(外皮平均熱貫流率) 」に変わったのです。

そして、Q値(熱損失係数)とUA値(外皮平均熱貫流率)では、どちらが適切に「冬の熱の逃げやすさ(逃げにくさ)」を示すかというとQ値(熱損失係数)です。

まったく同じ断熱仕様(断熱材の種類と厚み)、同じ広さである2つの家があれば、UA値(外皮平均熱貫流率)はほぼ同じになるのですが、プランによっては、熱の逃げる量が1.5倍も違う場合があります。ここが、住宅メーカーの設計力が現れるところです。

こうしたことを知っておかないと、UA値(外皮平均熱貫流率 )だけで「あの会社の断熱性能は良い」とミスジャッジしてしまう可能性があります。

③風通しをよくする設計

風はきまぐれ

夏はもちろん、春や秋も風通しのよい家は本当に気持ちがいいものです。だから多くの住宅会社も設計事務所も「風通しを良くします」と言います。でも、風通しについて理論的にとらえているところはそんなに多くないような気がします。

適切なパッシブデザインでは、理論的に風通しが理解できるようになります。

「風はきまぐれ」でも地元密着の建築事務所だから出来ることがある

風通しを良くする上で、まず知っておかないといけないのは「風は気まぐれ」ということです。基本的には日によってどこから風が吹いてくるかが変わりますので、事前に予想するのは困難です。

だから「どこから風が吹いてきても風が通るようにしておく」というのが一番大事なのです。しかし、長年地元に住んでいる人であれば「7月の昼間はこっちからよく風が吹く」ということがわかったりします。

風の性質を知って、過去のデータを調べ、詳しく分析すると、たとえば「埼玉県南部のこの都市では、この向きに風が流れる可能性が高い」という予測ができるようになります。これも、一定の参考になります。

立体通風で風を通す工夫をする

次に大事なのは、夏の暑さ対策としての「高窓」です。「熱は上に動く」という性質があるので、夕方頃からとくに2階が暑くなっていきます。その原因である熱は「2階の上のほう」に溜まっているので、そこに「その熱を排出させる窓」を設けるのが「高窓」というわけです。

また一般的には「同じ階にある2つの窓で風を通す」ということは考えても、「別の階にある2つの窓で風を通す」という発想はあまり見られません。こうした発想で風を通す工夫をするのが「立体通風」です。

④自然光で部屋を明るくする

昔と比べて最近の家はかなり明るくなってきたと思います。
その最大の理由は「内装が白くなった」ことでしょう。でも「この部屋だけは昼間でも暗くていやだなあ」と感じたり、立地条件が悪くて「暗い部屋が多い」という悩みは絶えません。

これは、理論的に明るい家にする工夫を捉えられていないからです。

自然光で家の中を明るくする基本は「複数の壁面に窓を設ける」ことです。立地条件が悪い場合では、2階の上のほうに窓(天窓や頂側窓)を設けるという工夫や、吹き抜けを設けることで解決することが多くあります。

それでも、どうしてもプランによっては窓がうまく設けられない場所が出てきたりします。パッシブデザインが適用されていないと、そこで諦めてしまい「暗い部屋」が残ってしまうのです。

「導光」という工夫で部屋を明るくする

こうした場合は「導光」という技を使って、少しでもその場所を明るくします。その代表が「光を通す欄間(らんま)」です。光が入りやすい部屋と、光が入りにくい部屋の間にこうした欄間(らんま)を設けることで、光が入りにくい部屋に光が導かれて明るくなります。

さらに、この欄間(らんま)を「風も通るもの(開閉できるもの)」にしておけば、風通しもよくなって一石二鳥です。

⑤パッシブとアクティブの共存

実際には、地球全体の気温の上昇や、ヒートアイランド現象、住宅地の密集など、色々な課題と向き合い「パッシブデザインだけ」で十分な快適性を確保するのは難しいものです。

だから「パッシブ」と「アクティブ」をバランスよく共存させることが重要になってきます。そこで目指すべきは、アクティブに頼る部分を最小化することです。

パッシブデザインで住宅をできるだけ”かしこい装置”にしておき、どうしても必要なところはアクティブを考えておくというのが適切です。

ちなみに、パッシブデザインと全館空調の相性は非常に良く、家の耐熱性・保温性を生かしながら、日射熱を家全体に効率的に回すことが可能になります。

パッシブデザイン×全館空調(マッハシステム)で快適な暮らしづくり

neue.CASAの全館空調は、マッハシステムを採用しています。マッハシステムの特徴は以下の通りでパッシブデザインと非常に相性が良いため、パッシブデザイン×全館空調(マッハシステム)の家づくりをおすすめしています。

  • 外からフレッシュな空気を取り入れて「花粉・粉塵などを取り除いてから」家中に送風するので花粉症やアレルギー対策に効果的
  • 家中を同じ温度に保つから、身体に優しくて快適
  • オーダーメイドで家に合わせることが出来るので、間取りの制約がない
  • ルームエアコン1台から運用できる

パッシブデザインで実現する日射熱の利用や、断熱・保温性能のおかげで、リビングや寝室、個人部屋など各所にエアコンを設置するよりも結果的にランニングコストも低く抑えられます。

ぜひ、マッハシステムの家に住む方々の暮らしブログを読んでみてください。

まとめ:パッシブデザインは身体と環境に優しい暮らしづくり

パッシブデザインで体にやさしい暮らし

ここまで、パッシブデザインについて、その概要を述べてきました。あくまでこれはパッシブデザインの全体像を知ってもらうための内容であって、実際には、もっと詳細で綿密なものです。

家づくりには他にも大切なものがたくさんあり、その内容とパッシブデザインとをうまく融合させないといけないですし、とくに敷地(立地条件)によってプランが大きく変わるので、最適な答えは、その敷地とクライアントによって変わるわけです。「これとこれさえやっておけばパッシブデザイン」というような単純なものではないのです。

「だからパッシブデザインは面倒で近づきたくない」という設計者や住宅会社もいるでしょうが、私は「だからパッシブデザインはおもしろい」と思います。

そうして、詳細で綿密な作業を続け、建物が出来上がり、クライアントが「良かった」と言ってくれるのは、家づくりに携わるものとしてのまさしく醍醐味です。

「パッシブデザインについて聞きたい」というご要望があれば、喜んでどこにでも行きます。ぜひ声をかけてください。

neue.CASAはパッシブデザインで
「冬暖かく、夏涼しい、風が通る、明るい」住まいの心地よさを実現します。